7/11からスタートした木曜ドラマ「サイン-法医学者 柚木貴志の事件-」(テレビ朝日)、みなさんは視ましたか?
すっとんは医療系の業界に籍を置いていますので、医療系のドラマは好んで視ます。
ドクターヘリと救急救命医の活躍を描いた「コードブルー」は不朽の名作と言えるでしょう!
さて、そんなすっとんが7/11に視たドラマ。
冒頭申し上げた「サイン-法医学者 柚木貴志の事件-」ですが、ぶっちゃけ細かいところが凄く雑!!
ドラマだから多めに見といて!っていう範疇を超えちゃってる気がするんですよね。
ざっくりあらすじ
すごくざっくりなあらすじですが、
主人公(柚木貴志)は正義の名のもとに自身が指名されていない(やってはいけない)解剖を強行し、結果として他殺の可能性を指摘するも、別の解剖医による再解剖により結果が捻じ曲げられてしまうことに。
後に他殺の犯人自体は逮捕されたが、それとは別に真犯人がいると睨んだ主人公は、ヒロイン(新人解剖医?)とともに事件の真相を解明していく。。。
といった内容だったかと思います。
話そのものは非常に興味深いものでしたので、今後も見続けたいとは思いますが・・・
雑!と思った所その①
あらすじの通り、主人公はやってはいけない解剖を強行してしまいます。
ご遺体を保管庫から持ち出し、解剖室へ運びます。(この過程でヒロイン(新人解剖医?)と遭遇し、ヒロインも解剖を手伝うことに。)
まぁこれ自体も結構あり得ない展開だとは思いますが、そこはドラマですので気になりません。
すっとんが「雑!」と思ったのはここから。
主人公が、マスクをつけずに解剖に臨んだのです。
一般的に生きてる人を手術する際に執刀医がマスクをするのは、患者からの二次感染防止と、執刀医の口から出た唾液などが手術している患部に飛んで二次感染を起こさないためです。
冒頭申し上げたコードブルーでは、マスクをせずに手術に臨む姿が割と多くありました。
一部で「マスクしちゃうと俳優さんの顔が見えなくなっちゃうからね」なんて声もありましたが、まぁ事実それもあると思います。
しかしこれ自体は、実際の現場でもよほど緊急を要する場合には二次感染よりも手術(治療)を優先すべき事態も多々ありますし、救急救命医であればなおさらです。
あまり気になりません。
では亡くなった方を相手にする解剖はなぜマスクをするのか?
理由は2つあると思っていて、以下の通りです。
①(なぜ亡くなったかわからないため)ご遺体からの二次感染などを防ぐため
②解剖医の唾液がご遺体に飛ばないようにするため
特に②が重要です。
なんだ、生きてる人を相手にするときと同じじゃん!
とお思いですか?
②は違います。
解剖において②が重要なのは、「証拠能力」です。
あまり良くない仮定をしますが、婦女暴行の末殺されてしまったご遺体の解剖をするとしましょう。
おそらくご遺体には、高確率で犯人の体液が残っているはずです。
そんな時、解剖医がマスクせずに解剖に臨み、解剖医の唾液がご遺体にかかってしまったらどうなるか?
この時点で、最悪の場合体液に関する証拠能力はゼロになる可能性もあります。
(つまり、犯人特定因子としてのDNA鑑定が意味を成さなくなる可能性)
ちょっと飛んだくらいの唾液でそんな大げさな!と思われるかもしれませんが、「飛んだ唾液」が焦点となった裁判例もあるくらいです。
事件現場で鑑識や刑事さんが素手で証拠品を触っているくらい、有り得ない状況なのですよ。
それを、解剖に人生を捧げているような主人公がやったという事実。
プロ意識がないというか、「え?なんで?」レベルの所業です。
雑!と思った所その②
その①と同じようなものですが、解剖の手伝いをすることになったヒロインの新人さん。
この新人さん、術者の環境下にいるにも関わらず手袋やマスクはおろか手術着すら着ず、なんと黄色いニットのカーディガン(?)を着ながら解剖の手伝いをするんです。
ニットなんて、ちょっとつまめばすぐ繊維の塊がとれますよね。
しかもその「繊維の塊」というワード、実は超重要な要素でして、その後のドラマの行方すら左右しかねない重要な証拠品として「青い繊維の塊」を患者から取り出すんです。
もしこの繊維が青じゃなく、ヒロインの着ていた色と同じ黄色だったらどうするんだ?と思います。
雑!と思った所その③
そして③。
主人公が強行した司法解剖は当然証拠能力無しとして採用されず、別の解剖医(悪いやつ)により再解剖が為されて腑に落ちない結果となります。
それを不服とした主人公は、主人公自身の罰則を決める査問会にて、査問委員が直接見ながら行う公開型の「再々解剖」を要請。
施設トップである院長が直々に再解剖をすることになるわけですが、ここでもなんらかの圧力が加わり結果として2回目の解剖結果を支持する内容となりました。
これにもちょっと待てと言いたい。
公開解剖の場面で、2回目の解剖結果を支持する根拠を査問委員に一切示さず、ただただ院長が「結果はこうでした」と発言するにとどまり、それを聞いた主人公が「まさか・・・」となるんです。
いやいや、せっかくみんなが見てるんだから、その証拠をカメラにうつすとか「ここがこうなってるからこう!」みたいにいくらでも言えるじゃん。
見てるほうも見てるほうで、「証拠示せ!」の一言くらい言えんのか?
見てるこっちが全く腑に落ちないです。
雑!と思った所その④
最後に④。
主人公は、犯人を捜すために防犯カメラの映像をひたすらチェックします。
が、そもそもイチ解剖医でしかない主人公がどうやって防犯カメラの映像を入手できたんでしょうか?
元・婚約者が担当刑事だったので、そのツテで入手できたのか?
(そのあたり、すっとんが見忘れていただけでしっかり説明されていたらごめんなさい)
よくわかりません。。
結局はドラマの展開が優先
上記のような話は、気にしない人からすれば完全な揚げ足取りでしかないでしょう。
「だったら見なきゃいいじゃん」という声が聞こえてきそうです。
まぁ実際見るも見ないもすっとんの自由なわけですが、ドラマ自体はとても面白いので見続けると思います。
実際すごく興味深いドラマ展開なので、今後に期待大なわけですが。
③、④はドラマの展開上仕方ないところもあるんでしょうが、①と②はなんとかならなかったのかな~?
再度言いますが、コレって刑事が素手で証拠品をベタベタ触ってるのに等しい行為なんですよ!